証券会社に口座を開いて株の売買を始める時、どの口座で取引をしようか悩んだことがある人も多いはず。
僕自身、特定口座(源泉徴収あり)なら確定申告が不要と言われているし、とりあえずそれが一番良いかなということで特定口座の源泉徴収ありに設定し取引をしてました。
その年、1年を通して約10万円の利益が出たものの、源泉徴収ありに設定していたので約2万円が税金(所得税15%・住民税5%)として差し引かれ、手元に利益として残ったのは約8万円。
利益が出ているからよかったものの、10万円の利益に対して20%の税金と考えると、なかなか割合が高いです。
当初は、自動的に天引きされたからもうどうしようもないもの…と思ってましたが、確定申告をすれば戻ってくる場合があることを知りました。
そうなんです。
実はこれ、その年の所得額や所得控除額によっては、確定申告をすることで還付を受けられることがあるんです。
丁度この状況が起こった年は、僕自身所得が少なく控除が多い年だったので、確定申告をしたところ本当に差し引かれた2万円が戻ってきました。
確定申告も難しいだろうと不安でしたが、国税庁のページから案内に沿ってやれば良いだけだったので、思ってた以上に簡単な手続きで済んでいます。
恐らく同じような人も多いと思われるので、今回は特定口座(源泉徴収あり)で株の取引をして税金が天引きされていた場合に、確定申告をして実際に還付金を受け取った時の手順や流れについてご紹介したいと思います。
とは言っても、確定申告をしてしまって逆にマイナスに働くこともあるので、その辺りも合わせて解説しながらまとめています。
特定口座(源泉徴収あり)で確定申告をする時の手順
まず、実際にやった確定申告を終えるまでの流れをご紹介します。(平成29年度分に合わせてます)
当時はサラリーマンをやりながら株の取引をしていたので、手元には会社からもらった源泉徴収票がありました。
会社員+副業で株取引といった場合は、この源泉徴収票がないと確定申告は進まないので必ず保管しておきましょう。
実際に自分がやった時の順番で解説しています。
国税庁の確定申告作成ページで申告書類作成
会社勤めをしていて源泉徴収票が手に入る頃は、すでに年が明けて翌年になっているはずです。(もしくは退職して源泉徴収票が手元にある、という場合でもOK)
確定申告作成ソフト(MFクラウドなど)があると確定申告が簡単だと言われてますが、今回のような還付のための確定申告であればソフトを使う必要はありません。
国税庁の確定申告作成ページで入力するだけで、簡単に申告書類が作れます。
給与の入力
まずは確定申告書類の作成ページに行きます。
▼「作成開始」をクリックします。
▼「書面提出」をクリックします。
▼チェックを付けて、「次へ」をクリックします。
▼「所得税コーナーへ」をクリックします。
▼「左記以外の所得のある方」の作成開始をクリックします。
▼画像の通り、チェックをつけたり生年月日を入力し「次へ」をクリックします。
チェックを付けなかった箇所がありますが、青色申告ではないからです。
▼こういったページになるので、「給与」をクリックします。
以下からは源泉徴収票をもとに、指示された通りに入力していきます。
▼支払金額(収入)などを入力します。
▼次のページは社会保険料などの入力です。
生命保険を支払っていて、且つ会社で年末調整を終えている場合は、生命保険料の控除額等も記載されているはずなので、源泉徴収票に書かれているならその金額を転記すればOKです。
もし年度の途中で退職していて、源泉徴収票に何も書かれていない場合は特に入力はしません。(後で控除の入力があるので、そこで入力します)
▼次のページも入力が必要であれば、どんどん源泉徴収票から転記していきます。
会社の住所、社名を入力するぐらいで、他は僕はありませんでした。
▼結果、こんな感じで反映されると思います。
▼入力を終えると、色んな箇所に自動で金額が反映しています。
これでまずは、会社員としてもらっていた給与の入力が終わりました。
控除の入力
続いて控除の入力を行っていきます。
▼給与を入力した段階で、最低限の控除が反映しているはずです。
ここからは、所得から控除出来るものをどんどん入力していきます。
僕がやったのは、医療費控除・生命保険料控除・寄付金控除の3つです。
医療費が超高額だったので、かなり控除されました。
医療費控除
▼まずは「医療費控除」から入力していきます。
▼「医療費控除を適用する」をクリックします。
「セルフメディケーション税制を適用する」についてどういうものかは、国税庁のページ(セルフメディケーション税制)で確認してください。
僕は普通に医療費としてかかったものの申請だったので、「医療費控除を適用する」を選択します。
▼「医療費の合計額のみ入力する」にチェックを付けて、金額を入力します。
ここでは医療費としてかかった金額だけを入力していますが、事前に病院の領収書をまとめ、いくらかかったかを算出しています。
2017年度の申告から、病院の領収書は不要になり(保管は必要)、代わりに「医療費控除の明細書」の提出でOKという制度に変更になりました。
一旦、集計フォームのエクセルでデータをまとめ、それを明細書1枚にまとめるといった感じです。
医療費集計フォームのエクセルは、国税庁のページ(医療費集計フォームのダウンロード)からダウンロード可能です。
集計フォームでまとめたデータを医療費控除の明細書にまとめますが、その明細書はこちら(重要なお知らせ【医療費控除が変わります】/確定申告特集)からダウンロードできます。
▼データをまとめて金額をにゅうりょくすれば、どれだけ控除されるのかが分かります。
▼「次へ進む」をクリックすると、医療費控除の項目に金額が反映され、合計も変わっているはずです。
生命保険料控除
この項目も同様に、指示に従って入力していくだけです。
保険に加入していれば、毎年年末が近くなると「保険料払込証明書」といった書類が届くはずです。
ここに記載されている金額をそのまま転記すればOKです。
寄付金控除
こちらも上記のように入力していけば、自動的に控除額が反映されていきます。
ふるさと納税をした場合も、寄付した街から証明書が届くのでそれは保管しておく必要があります。(確定申告時に一緒に提出するため)
▼生命保険料控除と寄付金控除の項目にも、控除額が反映しました。
以上で控除する入力は完了です。
他に控除出来るものを持っている場合は、その項目をクリックして控除額を追加してください。
分離課税の所得の入力
ここまで来たら後少し、ここからがやっと株取引の収支の入力です。
事前準備として、自分が取引を行った証券会社から「特定口座年間取引報告書」という書類が必要になります。
これは確定申告書類を提出する時に一緒に提出するものでもあるので、必ず自分の証券会社から入手しないといけません。
と言っても、自分から申請しないといけないものではなく取引を行っていれば、自動的に発行してくれるものです。
ただ、証券会社によって郵送のみの対応であったり、電子交付されていたりとまちまちなので、「〇〇証券 年間取引報告書」と自分の証券会社で検索すれば情報が出てきます。
その情報を確信して、受け取ったり出力したりしましょう。
僕が使っている証券会社は楽天証券ですが、電子交付されていました。
▼平成29年度の特定口座年間取引報告書
上記は平成29年度(2017年度)分の報告書ですが、これが準備出来れば記載されている金額を入力していくだけでOKになります。
▼「上場株式等の譲渡所得等」をクリックします。
▼配当所得の項目ですが、該当しなかったので「配当等がない」にチェックし、下部の「「特定口座年間取引報告書」の内容を入力する」をクリックします。
▼報告書に記載されている通りに記入します。
▼ページ下部に金額が反映しているはずです。
▼その他色々項目がありますが、下記の「いいえ」だけチェックを付けて最下部の「次へ」をクリックします。
もし該当のもの(損失の繰り越しなど)があるのであれば、上記の限りではありませんが、特定口座(源泉徴収あり)で売買しただけなら僕と同じになります。
▼金額が反映しました。
株取引の入力も、これで終了です。
▼見てほしいのはこちら。
株の取引を入力する前までは「納める税金」に金額が入っていたものが、入力後は「還付される税金」の方に金額が入っています。
ということは、株で利益を得た時に天引きされていたはずの税金分が還付されるということです。
この当時は所得が低く控除が大きいという年だったので、確定申告することで株の利益で自動で差引されていた税金分の還付が受けられることになりました。
住民税に関する入力
後は、ページの案内に沿って入力を続けます。
住民税の項目は特に説明するまでもなく、出てくる案内順に入力していけばOKです。
還付金がある場合は、振込んでもらう口座の入力もあります。
申告書の印刷
これで最後のページです。
「帳票表示・印刷」をクリックして、PDFをダウンロードしておきます。
プリンターがあればそのまま印刷してもOKですし、なければコンビニ等で印刷しましょう。
僕のように楽天証券のみで取引を行っていた場合(取引証券会社が1社の場合)、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」は不要で、用意していた「特定口座年間取引報告書」のみの提出で問題ありません。
もし複数の証券会社の収支データを入れた場合は、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の提出も一緒に必要になります。
税務署へ提出する際に必要な書類
完成した確定申告書類は出力し、税務署へ提出します。
郵送でも持込でもOKですが、申告書類の他、必要な書類は以下です。
- 給与所得の源泉徴収票
- 申告する証券会社の特定口座(源泉徴収あり)の年間取引報告書
- 医療費控除の明細書
- 生命保険料の支払額などの証明書
- 寄付金(ふるさと納税等)の受領証明書
※上記はあくまで今回の状況に照らし合わせて必要な書類です。控除の入力項目が違う場合は、これ以上に必要な場合もあります。
後は確定申告期間中に税務署に提出、後日還付金が振り込まれる、という流れになります。
株取引の特定口座(源泉徴収あり)と特定口座(源泉徴収なし)の確定申告について
先に還付申告を行う手続きについて書きましたが、最低限株の確定申告を行う場合に持っておきたい知識についても自分なりにまとめておきます。
株取引の特定口座(源泉徴収あり)と特定口座(源泉徴収なし)における最低限の理解を持っておくと良いです。
特定口座(源泉徴収あり)について
そもそも本来は、特定口座(源泉徴収あり)で取引をしている場合は、確定申告不要です。
その理由は、取引をして利益が出る度に、証券会社がその利益から所得税と住民税を差し引いて、それを代わりに納税してくれるからです。
株取引は、給与所得以外の所得が20万円以下の場合、利益があっても確定申告しなくても良いというルールがあります。(給与所得が2,000万円以下の場合)
ですが、特定口座(源泉徴収あり)で取引していると、年間の利益が20万円に到達していなくても、利益に対して所得税も住民税も差し引かれます。
しかも利益の約20%(正確には20.315%)という、利益が少ない人からすると驚異的な数字です。
10万円の利益に対して2万円も税金が取られるわけなので。。。
メリット・デメリットというのは難しいところですが、とにかく確定申告とか面倒くさい!という人は特定口座(源泉徴収あり)にしておけば問題は起こらないかと。
そして今回のように、所得が少なかったり所得控除が多くあれば、確定申告(還付申告)をして税金が戻ってくる場合もあるわけですから。
2017年度の僕はというとこの口座を選択していたので、株取引の確定申告は不要としました。
もし確定申告をする場合は、給与収入や事業収入などの所得、いわゆる総所得金額に合算して計算することになります
それを踏まえて、配偶者控除に影響はないか、翌年に支払う国民健康保険の料金の方が高くなることがないか等、しっかり計算してからやることをおすすめします。
特定口座(源泉徴収なし)について
この口座(特定口座(源泉徴収なし))を選んでいる場合は、1年間で得られた株の利益を自分で確定申告しないといけません。
ですが、利益が年間20万円以下ならそもそも確定申告は不要とされています。(※諸条件はありますが)
なので、年間の利益が20万円以下の場合にこの口座のメリットが発揮されるわけです。
利益確定をした時に証券会社から税金分が源泉徴収されることもなく、利益はそのまま利益として残ることになります。
もしこれが、特定口座(源泉徴収あり)を選んでいると、年間で20万円の利益に達しなかったとしても、利益のたびに20%の源泉徴収が行われるので、ここにありとなしの差が出てきます。
とは言え、前述したように「源泉徴収あり」で取引して自動的に税金分が差し引かれても、確定申告を行えば税金が返ってくることもあるので、どちらが良いかは自分の状況次第かなと。
個人的には「源泉徴収あり」にしておいて、
- 源泉徴収された税金の方がお得に返ってくると分かったなら確定申告する
- 税金は返ってきたとしても、結果的に総所得が上がって配偶者控除に影響が出る、国民健康保険料等などもあがって逆に損する、などとなるなら確定申告せずにそのまま
というスタイルが一番良いのかなと思ってたりします。
ちなみに、一度でも株の売買をしていると、年度の途中で「なし」⇒「あり」への変更は出来ませんので注意が必要です。
扶養に入っていながら利益が38万円以上出ている場合は注意が必要!
確定申告をすれば還付金があったという話しですが、例えば結婚していて配偶者の扶養に入っているという状況で、利益が38万円を超えている場合は注意が必要です。
確定申告することでパートナーが配偶者控除を受けられなくなる恐れあり
年収103万円、というより所得38万円以内に収まっている場合、パートナー(配偶者)の扶養に入っていられるなどといった話を聞いたことがあると思います。
良く103万円の壁と言われているものです。
これは所得38万円までだったら、
- 所得税はかからない
- パートナー(配偶者)が38万円分の配偶者控除を受けられる
というものです。
言い換えれば、所得38万円を越えた場合は所得税がかかってきて、配偶者控除38万円は配偶者特別控除に切り替わり、控除される額が減っていきます(いきなりゼロになるわけじゃありません)
2018年度からは配偶者控除を受ける人の所得によっては、所得38万円以下だけでなく所得85万円以下までであれば、配偶者特別控除として38万円の控除が受けられる制度に変わっています。
要するに、所得38万円を越えてくると配偶者控除として受けられるはずの38万円の控除が少しずつ減っていくよ、ということです。
ですが、特定口座(源泉徴収あり)を選択していた場合、利益に対して毎回20%の税金が取られるものの、例え38万円以上利益が出ていても配偶者控除に関しては何の影響も受けません。
仮に100万円得ようが500万円の利益が出ようが、特定口座(源泉徴収あり)を選んでいる限り問題ありません。
なぜかというと、「特定口座(源泉徴収あり)で得られた利益は所得の中に含めない」と決められているからです。
100万円とか500万円の利益が出たー!と言った場合、税金(所得税&住民税)として20%が差し引かれるだけで、手元にはそれぞれ80万円・400万円残ってそれ以外は何の影響も受けません。
このような状況でもし確定申告をした場合にどうなるかというと…状況によってまちまちなので計算は割愛しますが、逆に払う額が増えることもある、ということです。
利益が130万円を越えて確定申告すると社会保険の扶養を外れてしまうことも
所得税やパートナーの配偶者控除の他に、扶養と言えば社会保険の扶養もあります。
これは、年収130万円までであれば、パートナー(配偶者)が加入している社会保険に扶養として入れるというものです。
健康保険にも加入出来、国民年金も払っていなくとも払っている期間に含めてくれる素敵な制度です。
が、社会保険の扶養に入れるのは年収130万円までと決められています。(※正確には見込年収130万円・月収10.8万円ですが、株の場合は年間で考えるので年収130万円となるのが一般的です。)
株の利益が年間130万円を越えた状態で確定申告をした場合、パートナーの社会保険の扶養から外される事態が発生することがあります。
もし外された場合は、自分で国民年金を払い、国民健康保険に加入しないといけなくなる、ということになります。
ここで書いているのはあくまで一例であり、パートナーが加入している健保組合等によって判断が変わることがあります。
例えば、「株の利益は継続的な収入とは言えないということから130万円を超えていても扶養として認める」といった見解になることもあるので、一概には言えないことは理解が必要です。
必ず加入している健保組合に確認することをおすすめします。
とりあえずでも特定口座(源泉徴収あり)にしておく方が楽 / まとめ
特定口座(源泉徴収あり)で利益のたびに差し引かれていた税金が、確定申告することで戻ってきた時の話をご紹介しました。
実際もっと難しいものかと思ってましたが、必要書類も証券会社が作成しているものをほぼ集めるだけだったので、想像以上に簡単な手続きです。
自分で言うのもなんですが、書いた通りに申請していくと1日あれば十分終わります。
それで数万円が返ってくるのであれば、やって悪いことはないですよね。
とは言え、年間の利益が少なくても、毎回利益確定の度に20%分の税金が取られるのはん~と思わないこともありませんが、特定口座(源泉徴収あり)でやっておくのが一番楽で良いかなと、個人的には思います。
まして、配偶者の扶養に入っている場合なんかは、どう転んでも源泉徴収ありの口座一択で良いかなと。
税金の知識はあればあるほど節税に繋がるので、賢く無駄なくやっていきたいですね。
参考にしてもらえると幸いです。
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7月から株をはじめて利益が現時点であと少しやらないと20万円には届かず。
損が出る前に手を引こうと思っていたのですが、勢いでよく調べもせずに特定口座源泉
徴収ありにしてしまったので、微妙に数万円無駄にしてしまった・・と思っていたので
今回、こちらで詳しく教えていただけて助かりました。
色々と計算したら、来年は還付してもらえそうです。
ありがとうございました。
7月からはじめて利益が出てるとか素晴らしいですね!
確定申告と聞くと一瞬ひるみそうになりますが、慣れてしまえばホント簡単なので、数万円取り戻すためにぜひ来年の還付申告はやってみてください!
コメントありがとうございました。