僕は大学に入ったはいいものの1年で中退しました。
それからはフリーターをしたり、ネットワークビジネスにはまって借金したり、正社員になったと思えば倒産して給料が払われなくて困ったり、海外を放浪したり、ブラック企業で消耗しまくったり、フリーでやっていこうと目論んでもなかなかうまくいかずまた会社員として働きだしたり、それなりに上下に激しい波のある人生を送ってきたと思います。
そして今そんなことをたくさん経験してきたからか、人の心情を汲むことが出来るようになったと思うし、相手がどうしてほしいのかをそれなりに感じ取れるようになりました。
苦しいことも辛い事もその度に乗り越えて、結局はめぐりめぐって自分にプラスになって返ってきたということでしょうか。
今の新しい会社で働き始めて3ヶ月が経ちますが、最初の頃と比べると良い意味で明らかに僕を見る目が変わったと感じられるんです。
「こいつ結構仕事出来るんちゃう?」って。(本当に僕が出来ているかは別ですが…w)
今回はほんの少しでもこの人デキる人やなぁと思われるための方法を書きたいと思います。
やらなきゃいけない事にプラスワンする!
会社員として働くならば、組織に属し先輩や後輩、上司や部下という関係が必ず存在するはずです。
人間関係が面倒だとか言ってもサラリーマンでいる限り切っても切れないものだし、そうやって人は気付き成長する部分もたくさんあるので、一度は経験した方が良いと僕は思います。
入社したばかりの時は特に、仕事内容も分からなければどれが効率的な方法かも一切分かるはずがありませんよね。
だから先輩や上司から言われたことや指示されたことを覚える日々が始まります。
そして指示されたことはやらなきゃいけないことです。それをこなして給料をもらうんですから当たり前ですよね。
やらなきゃいけないことをやるのはやっぱり当たり前で、デキる人になっていくためには、このやらなきゃいけないことにプラスワンすることが大切なんです。
僕自身の話し、聞いた話しを例えにプラスワンがどういうものか2つお話ししてみたいと思います。
頭ではわかっているかもしれませんが、明確に行動出来てる人って少ないのが現実です。
高速道路の料金所での話
これは僕の父親の話。
もう20年近く前のことになりますが、50歳を超えた頃父親は勤めていた会社を退職しました。
再就職はなかなか厳しかったみたいですが、そこで新たに働くことが出来たのが高速道路の料金所の切符切りの仕事でした。
ETCカードが普及して有人の料金所よりもETCのゲートの方が多くなってますが、まだETCを搭載していない、もしくはETCカードを持っていない人は世の中にはいるので有人ゲートをなくすことは出来ないんだとか。
僕の地元の奈良県には西名阪自動車道という高速道路が通っており、そこのある料金所に配属になりました。奈良から大阪方面へと進む道なので交通量はかなり多かったみたいです。
毎日料金所に立っていると、毎日のように同じ質問が来ることに気付きました。
「USJってどこで降りたらいいんですか?」
という質問。
ある人は、
「いやぁ、ちょっとここではわかりません」と答える人がいたかもしれません。
ある人は口頭で、
「このまま西名阪を超えて阪神高速行ってもらったら標識出てくるんで、それに従って行って下さい」と言っていたかもしれません。
(上記2つは僕の勝手な空想の回答ですが)
高速道路を通行する車の料金を徴収することが仕事なわけですから、「わかりません」と答えてもダメなわけじゃありませんね。
では、口頭で言った人はどうでしょうか。
質問の回答にはなっていないものの親切心で言っていることなので、分かりませんよりはいいですよね。質問した人が納得するかは別にして。
実は奈良方面(西名阪自動車道)から高速でUSJに行く場合、阪神高速をずっと北上していき、大阪の本町という地名の辺りで大阪環状線へと進む真っ直ぐのルートと、神戸方面・天保山方面へと進む大きく左方向へカーブするルートがあり、そこで神戸・天保山方面へと進まなければなりません。
もし大阪環状線へのルートをたどってしまうと、ぐるっと一周して同じ場所に戻ってこないといけなくなるんです。
この道が分からない人にはわからないんでしょう。
では父親が取った対応はと言うと…
MAPを載せた資料を作った
です。
実際に口頭で正解を説明してあげようと思うと、「このまま西名阪を抜けて阪神高速を北上し、信濃橋の降り口を超えてすぐに神戸・天保山方面への左にカーブする道があるのでそこを左のルートに。またすぐに神戸方面と天保山方面の分岐が出てくるので、それを天保山方面に。そこを真っ直ぐ進んでいき、最終的にユニバーサルシティの出口があるので、そこを降りればいいですよ」というものです。(これでもまだ不完全なぐらいw)
例え正解を知っていたとしても、質問が来るたびに毎回上記回答をしていては時間が掛かるし、回答している間にさらに質問が来て後ろに渋滞が出来るかもしれません。
そう考えたであろう父親は、資料を自分で作りそれをあらかじめ料金所にセットしておき、質問が来るたびに「この資料に沿って行ってください」と資料を手渡すだけで解決させたんです。
これを見た会社の人たちは大絶賛。
今まで同じ様な質問を受けた時に困っていた人たちが、これで解決されたわけです。
ここで言うプラスワンは、「高速道路を通過する車の料金を徴収する」というやらなきゃいけない事に、良く来る質問に対する回答資料を作成し、口頭で行わないといけない回答を簡略化させたことです。
この話を父親から聞いた時、さすがだなぁと思いました。
トイレの場所は常に確認!の話
次に僕の話しでイベントの仕事をしていた時のことです。
イベントを行う時、イベント会場を借りることが多々ありました。
屋内の会場であれば会場内にトイレはあるはずなのでそこを案内すればいいのですが、イベントスペースを借りる場合、ただ単に広いだけのスペースで屋外ということもしばしば。なので、トイレが常設になっているなんてことはありません。
ここで使用するのは、公共のトイレだったりするんです。(これはイベントスタッフの話しではなく、イベントに来場したお客さんが使うトイレのことです)
ここでほとんどの人がイベントに入るスタッフ用のトイレは必ず確認します。(スタッフ衣装を着ていることもあり、逆に公共の場所は使ってはいけないや、裏にあるスタッフトイレを使わないといけない等があるため。)
でも僕は常にスタッフ用のトイレはもちろん、お客さんが使える一番近いトイレがどこかを確認していました。
さて、準備が終わりイベントが始まりました。
そのイベントが目的で来場してくれた人、たまたま通りすがった時にイベントをしていたから寄ってみた人、たくさんの人が来てくれます。
そんな時、どんなイベントの時も良くされる質問がこちら。
「すみません~トイレってどこですか?」
です。
別にこう答えてもいいんです。イベントとは何も関係性があるわけじゃありませんし、お客さんも「あっそうなの?ごめんなさい~」なんて言って終わりますから。
でも、
こう言ってあげた方が僕も気持ちいいし質問した人もトイレの場所が分かって嬉しいでしょう。
そしてもう一つはこんなメリットがあったりします。
イベントを開催する時、アンケートを取得しないといけないことがたくさんありました。
路上でもどこでもアンケートと聞いて進んで回答してくれる人ってあんまりいませんよね。
そんな時にトイレはどこですか?と聞かれるわけです。
「どこか分かりません」⇒「(ちょうど声かけてくれたし)1分で終わるアンケートなんで答えて下さい!」と言う場合、誰がアンケートに回答してくれるでしょうか。
「トイレはあちらです」⇒「(ちょうど声かけてくれたし)1分で終わるアンケートなんでついでに答えて下さい!」と言うと、「1分で終わるの?(トイレの場所教えてもらったし)じゃあ答えてあげるわ」って答えてくれる確率があがると思いませんか?
もちろん全部が全部うまくいくわけじゃないし、アンケートのためにトイレの位置を探しているわけじゃありません。
ただトイレの位置を把握しておくだけでお客さんに案内できるようになり、物事が良い方向に運びやすくなるということです。
イベントに寄ってくれたお客さんが利用するトイレの場所を把握しておく。
これが「イベントを運営する」というやらなきゃいけないことのプラスワンでした。
一度手間を掛ければ、後から効率が良くなるものをプラスワンにする!
父親の資料を作ったことも、僕がトイレの位置を探したことも、どちらも一瞬は手間をかけないといけません。
トイレの場所を探す方が一瞬の作業かもしれないけど。w
でも一度手間を掛ければ、質問が来た時に何倍もの効率性で対応出来るというメリットがあります。要するに仕事が早くなるわけです。
毎回口頭で分かりにくい説明をするよりも、資料を手渡した方が何倍もわかりやすいし早く処理できますよね。
トイレに関しても、毎回わからないから違う人に聞いて下さいって言って流すよりも、あそこですよ!と言えた方がすぐに解決できる上にさらに好感度も上がります。
やならくても対処できるけどそんなに手間がかかるわけじゃなく、一度手間をかけるだけで効率性が増すものって実は見渡せばたくさんあるはずで、みんな気付いてもいるはずなんです。
でも「今やるのって正直面倒くさい」という気持ちが先行して「正直やらなくてもまぁ対応できるし」という感情が勝ってしまい結局やらずじまいで終わることが多いんでしょう。
それをスッと出来るあなたは、まず間違いなくデキる人と思われます。
プラスワンは一度の手間で効率性が良くなるものを見つけてやっていくんです。
プラスワンは隠さない、自慢しない、提供する!
プラスワンが出来るようになるよりも、実はこっちの意識の方が大切かもしれませんね。
先ほどの話しで言うと、資料を作ったのは自分です。
でもその資料を作ったことを自分の手柄にしたいからと言って隠して、自分だけが使うようにしてはいけません。
そしてわざわざ自分が作ったことを誇示するかのように自慢してはいけません。
さらに、作ったものは仕事仲間にはすすんで提供しましょう。
これが絶対条件です。
例えばの話しをしておきます。
A部長と、B先輩、そしてCの自分がいて、D・E・F・Gなどその他大勢の自分の同僚がいたとします。いわばB先輩をリーダーとしたチームです。
A部長はC以下の自分達と同僚の面倒を見るのはB先輩に任せています。
▼こんな感じ
A部長は実務から外れているため現場のことは良く分かっていません。B先輩から報告を受けることで状況を把握します。
B先輩はとある業務が効率的になるであろう資料を作った方がいいことは知ってるものの、忙しいのと面倒くさいが重なって作ることはしていませんでした。
そんな時にCの自分が資料を作ったとします。
こんな時隠さない、自慢しない、提供する!を実践するとこうなります。
まずはB先輩に言いましょう。こんな資料を作ったので活用したいんですが、と。
もし「お前なに勝手にでしゃばって資料作ってるんじゃあ~!!」という先輩ならば…残念ながらその人には何をやっても無駄でしょう。
B先輩の心情として、作らなあかんと思いつつCに作ってもらった。もしこれがA部長の耳に入ったら自分よりもCが評価されるかもしれない。という気持ちが出てくる人もいるでしょう。
ホントはB先輩のチームなんだから、そうやってCの自分達が力を発揮させるための土俵を作るのがB先輩の役割のはずですが。
その後に、「じゃあみんなにも(同僚にも)配って対応しといて!」と言われるなら、それで配ればいいですし、「俺が配る(俺の手柄だ!)」と言うならそうさせてあげましょう。
ここでもわざわざ同僚に「実は自分が作った資料なんやで~!」なんて自慢しないようにするんです。
大切なのはB先輩の気持ちと心情を察知しつつ行動する事。
勝手にやれば「こいつは抜け駆けする奴だ!」と思われるかもしれませんし、自分が作ったことを暗に示そうとすると「こいつは反乱分子になりかねない」と思われるかもしれません。
自慢もせず隠すこともなくB先輩に話した自分は、「こいつは従順だから利用できる価値があるかもしれない」と思われるかもしれません。
それでいいんですよ。見てる人は見てますから。
大切なのは、自分だけのものにしようと隠すこともせず、自分が作ったんだと自慢することもなく、見返りを求めるでもなく提供する。
これこそがプラスワンを行っていく中で一番大切なことです。
そうすることで、後からジワリジワリとでもデキる人であることを勝手に周りが認識し始めますから!
やらなきゃいけないことにプラスワン / まとめ
色々なことを経験したからか、相手がどうしてほしいのか、どうした方がいいのかというのを、感情ではなく頭で理解し行動できるようになってきた気がします。
もちろん感情が表に出てきてしまいそうになることもありますが、人として倫理観を持ち、相手が喜んでくれることを選択していくと、見てる人は見てくれているということに気付くことができます。
ほんのちょっとのプラスワンで見違えるほどの成果を上げることもあるはずなので、一瞬の作業は面倒ですが常にやらなきゃいけないことにプラスワンを考えて行動したいですね。
少しでも参考にしてもらえれば幸いです。