どうもー!最近K2(ケイツー)シロップのことを調べすぎて、さらには病院と議論を重ねすぎて疲弊しまくったNon太(@LoveWifeLives)です。
検索マニアな僕なので、K2(ケイツー)シロップのことを調べまくってたら、もっとさらなる情報を知りたくなってしまったので探しまくっています。
まだ情報自体完璧ではないものの、恐らく今後調べる人もいるだろうということで、自分が探してまとめた情報を整理しておくことにしました。
今回は、K2シロップの有用性を確かめるために行われたという過去5回の全国調査、とやらの考察とまとめです。
学会や権威あると言われている医学界の方たちが発表している論文や文献を、お金を払ってでも読もうと思いましたが、その為には会員登録が必要で、さらには医学関係の人しか登録できないとのことで、公に公開されている情報だけでしかまとめきれていません。
そりゃ当然情報は降りてこないですよね。
あくまで参考程度にお願いします。
5回行われた全国調査を分析
この全国調査がどのように行われ、どのように結果を判断したのかを調べてみました。
まずはこの調査を1回ずつに分類してまとめています。
そもそも当時の厚生省(2001年1月に厚生省と労働省が統合されて、現在の厚生労働省に変わっている)が、「厚生省心身障害研究報告書」および「厚生科学研究子ども家庭総合研究」報告書というレポートを提出しており、それを見ることで色々書かれているデータを抽出出来ます。
これが全て正しい情報とは言えないものの、医学に関わっていない一般人のソースはこれぐらいからしか拾えませんでした。
以下からかなり長くなるので、時間がある時に読むことをおすすめします。
第一回全国調査
【参考ソース】
第一回全国調査における概要は以下です。
調査方法 | アンケート調査 |
期間 | 1978(S53)年1月1日~1980(S55)年12月31日の3年間 |
対象施設 | 全国の小児科を設置する200床以上の病院及び国公立の小児病院 |
調査対象施設数 | 1,011施設 |
回答施設数 | 420施設 |
回答率 | 41.5% |
全国小児科施設数 | 不明(ソースを見つけられず) |
出生数(S53年) | 1,708,643人 |
出生数(S54年) | 1,642,580人 |
出生数(S55年) | 1,576,889人 |
出生数(S53~S55) | 4,928,112人 |
発症数(S53~S55) | 437例 |
発症数(年間) | 146例 |
上記の結果から | |
全国年間発症数 | 約400例 |
出生数に対する発症割合 | 4,000人に1人 |
母乳栄養児の発症割合 | 1,700人に1人 |
上記数字は実際に記載されているデータを分かりやすく書き直しただけです。
さらに、書かれている内容を抜粋すると(意味が分からないものもありますが…)
- 発症時年齢は、生後3週~2ヶ月未満が大部分
- 男児255例、女児160例、不明22例とのこと
- 母乳栄養の他、原因が認められないもの(以下、一次性・特発性と言われています)338例(約80%)
- 先天性胆道閉鎖・慢性の下痢・抗生剤長期投与が要因のもの(以下、二次性と言われています)91例(約20%)
- 栄養法の内訳は母乳栄養児84%・人工栄養6.4%・混合栄養3.9%・大豆乳1.8%・不明3.9%
- 一次性と二次性合わせて429例(表で言われていた437例はどこへいったんだろう?)
- 429例の内、頭蓋内出血を起こしていたのは335例(78.1%)
- 335例の内、頭蓋内出血のみの発症だったのは192例
- 次いで、注射穿刺部位(刺した部位)からの出血が143例等
- 一次性は二次性に比べ頭蓋内出血の占める頻度が多いが、二次性は頭蓋内出血以外の出血が多かった
と書かれています。
以下は補足説明として付け加えておきます。
調査対象施設数について
全国調査と言えど、「全国に小児科を設置しており、且つ200床(入院用ベッドが200)以上の病院」に限定した調査というわけです。
全国の小児科の病院の数で言うとその何倍もの数があるわけですが、病院数のデータは1990年(平成2年)からのものしか見当たらず、正確な病院数は分かりません。
調査期間中の出生数について
調査期間3年間での出生数は内閣府が発表している数字、及び厚生労働省の人口動態調査から引用しています。
▶http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2015/27webgaiyoh/html/gb1_s1-1.html
▶http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei16/dl/2016suikei.pdf
発症数から見た全国発症数の数字の導き方
アンケート結果から出た発症数(年間)が146例だったという数字から、全国年間発症数を約400例と発表しています。
これは恐らく調査対象の小児科施設数が1,011施設だったことと、全国の施設数の割合比率から試算されたものと推察されます。
全国の小児科施設数が正確に発表されているのが分かるのは、厚生労働省の「医療施設調査」という資料からですが、そこに書かれているのは1990年(平成2年)以降となっています。
なので正確には言えないものの、そうじゃないと明らかに数字がおかしくなるので、そういう割合なんだと思われます。
出生数 / 母乳栄養児に対する発症割合について
全国の年間発症数が400例とすると、3年間で1,200例となります。
3年間の出生数は約490万人。
この数字から、約4,000人に1人が新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症を発症していると計算されています。
ここまでは良いものの、この後から数字がおかしくなっています。
以下、第一回調査のソースに書かれていることを引用します。
わが国の最近の年間出生数は170万人、このうち幼若乳児のうち、母乳栄養の占める頻度は約40%である。
今回の全国調査では、年間約400人の新発生があり、予後の内訳は死亡65人、後遺症あり150人、完治95人であった。
本症の発生は現在のところ母乳栄養児の1,700対1であり、先天性代謝異常症がスクリーニングテストで発見される頻度の約5倍である。
と書かれています。
この何がおかしいかというと、「なぜ発症した400人全員が母乳栄養児から発症したという計算がされているのか?」ということです。
発症の原因で書かれていた「母乳栄養の他、原因が認められないもの」が80%だったということから、400例のうち80%の320例は母乳栄養児から発症した年間発生数と考えるのは問題ないと思います。
出生数170万人の内40%が母乳栄養児ということならば、68万人が母乳栄養児ということです。
ということは、母乳栄養児68万人の内320例が発症したと計算するのが普通じゃないでしょうか?
- 68万人の内400例が発症⇒1,700人に1人が発症
- 68万人の内320例が発症⇒2,100人に1人が発症
これは大きな違いと言えるのでは?と思いました。
この調査が行われたのが約40年前の話ですが、いまだに1,700人に1人という話は語り継がれています。
これはあくまで数字上のものを見ただけなので、他に複雑なロジックが隠れているのかは分かりません。
第二回全国調査
第二回全国調査における概要は以下です。
調査方法 | アンケート調査(「前研究班の調査にならって」と記載有) |
期間 | 1981(S56)年1月1日~1985(S60)年6月の4.5年間 |
対象施設 | 全国の小児科を設置する200床以上の病院及び国公立の小児病院 |
調査対象施設数 | 1,218施設 |
回答施設数 | 472施設(内、221施設に本症ありと回答有) |
回答率 | 38.8% |
全国小児科施設数 | 3,727(一般病院数)(ソースはこちら) |
出生数(S56年) | 1,529 455人 |
出生数(S57年) | 1,515,455人 |
出生数(S58年) | 1,508,687人 |
出生数(S59年) | 1,489,780人 |
出生数(S60年) | 1,431,577人(調査は6月までなので半分の715,788人とする) |
出生数(S56~S60) | 6,759,165人(S60は715,788人として算出) |
発症数(S53~S55) | 475例(ニアミス含めて534例) |
発症数(年間) | 106例 |
上記の結果から | |
全国年間発症数 | 約300例 |
出生数に対する発症割合 | 5,000人に1人 |
母乳栄養児の発症割合 | 不明 |
上記数字も記載されているデータをもとに表にしただけです。
さらに、書かれている内容を抜粋します。
- 合計534例の内訳は、特発性407例、二次性68例、ニアミス59例
- 昭和60年は6ヶ月間であるが、特発性の症例は30例(=年間60例)で、出生23,200人に1例となり、昭和56~58年代の約60%に減少している
- 発症した乳児の中の母乳栄養で育てられている割合が多く、特に特発性は90.4%であった
- 前回(第一回)の調査と比べると、発症率は75%になった
と書かれています。
以下は補足説明として付け加えておきます。
調査対象施設数について
第一回の調査と同様にアンケートを送付し調査したようで、1,218施設に送っています。
全国の小児科を標ぼうする一般病院数が3,727ということから、全国の約1/3を認識できているから3倍すれば全国の発症数を計算できるっていう算出方法に繋がると思われます。
下記のP13にグラフがあります。
調査期間中の出生数について
調査期間3年間での出生数は内閣府が発表している数字、及び厚生労働省の人口動態調査から引用しています。
これは第一回目と変わりません。
ただ、調査期間が昭和60年の6月までとなっていることから、出生数は年間の半分として考えます。
▶http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2015/27webgaiyoh/html/gb1_s1-1.html
▶http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei16/dl/2016suikei.pdf
発症数から見た全国発症数の数字の導き方
アンケート結果から出た発症数(年間)が106例だったという数字から、全国年間発症数を約300例と発表しています。
先程述べた通り、アンケート調査をした施設が1,218施設、当時(昭和59年頃)の全国の小児科施設数が3,727施設だったことから、概算で106例⇒約300例としたと推察されます。
アンケートの回答は472施設だったじゃないか?という疑問は消えませんが、ソースから見る限りはこれ以上分かりませんでした。
出生数に対する発症割合について
全国の年間発症数が300例とすると、4.5年間で1,350例となります。
4.5年間の出生数は約675万人。
この数字から、約5,000人に1人が新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症を発症していると計算されています。
年度別報告患者数について
調査期間4.5年間の年度別の発症数の記述がありましたので、引用します。
年 | 特発性 | 二次性 | 計 |
昭和56 | 97 | 11 | 108 |
昭和57 | 111 | 16 | 127 |
昭和58 | 92 | 18 | 110 |
昭和59 | 77 | 16 | 93 |
昭和60 | 30 | 7 | 37 |
※昭和60年は6月までの調査の数です。
このデータから、昭和59年以降減少していると考察されています。
この調査から導き出された考察
年度別(昭和56~昭和60年)の発症率を見ると、昭和59年から減少傾向が見られ、昭和60年の半年分37例(特発性と二次性例)を上記の計算に当てはめると、年間101例の発生となり、出生約1.4万対1となって、かつてのリスクと比較すると約3.5分の1に下がったことになる。
と記述があります。
要するに、
- 昭和56・57・58年までは、年間300例ほどが発症していた
- でも昭和59年11月にK2シロップが発売されたことで、昭和59年から下がってきて特に翌年(昭和60年)の発症率が低くなっている
- 昭和60年は半年の調査期間だが、半年で特発性と二次性で37例、ということは年間101例になる(←なんで?年間74例じゃないの?)。
- 昭和60年の出生数が約143万人だから、1.4万人に1人の発症になった
と考察してるわけです。
その結果から、ビタミンKを予防投与することが、本症の発生予防に有効であることは明らかであると結論づけられています。
ちょっとした疑問
こちらのソースには、
なお特発性、ニアミスともビタミンKの予防投与が行われているものにも発症している例が、それぞれ10例、18例認められた。
と記述があるものの、これに関する深い考察はゼロです。
また、昭和56年~昭和60年6月までの調査の中で、
- 昭和58年⇒ビタミンK予防投与暫定基準発表(厚生省中山班) があり、
- 昭和59年11月⇒K2シロップが発売になり、
- 昭和60年⇒ビタミンK予防投与暫定普及案発表(厚生省塙班)として(生後 1 週間後及び 1 ヵ月後の 2 回のケイツーシロップ投与)が発表されたわけです。
以上から、昭和56・57・58年はビタミンKの予防投与がほとんどなかったと推察します。
また昭和59年11月にケイツーシロップが発売されてもすぐに普及率は100%には至っていないはずです。
であれば、投与した群と投与していない群で発症率や頻度を調査しないといけないんじゃないのか?と思うわけです。
上記の通り、予防投与が行われても10例が発症しているわけで、これが実際どれくらいの新生児・乳児に投与した数の発症か分からないわけですから。
こういうことを言い出すと全てを調査しないといけなくなるので、大体無理だと思われますが…。
でもそう考えると、こちらのページのP3に載せられている図1は、少し悪意のある書き方と言われても仕方がないかもしれませんね。
第三回全国調査
【参考ソース】
第三回全国調査における概要は以下です。
第一回目・二回目と大きく違うのは、調査対象が生後2週以降の乳児でビタミンK欠乏性出血症と診断された症例を算出しているところです。
合計268例が報告されたが、この内調査期間外19例、年齢が対象外(多くは生後2週以内)62例及び、対象外疾患12例の93例を除外し、特発性129例、二次性28例、及びニアミス18例が把握された
と書かれているので、一・二回目までは算出していたはずの生後2週以内の62例が除外されているのはおかしいですよね。
まぁ、そのまま表にしてみましょう()は本来の数です。
調査方法 | アンケート調査 |
期間 | 1985(S60)年7月1日~1988(S63)年6月30日の3年間 |
対象施設 | 全国の小児科を設置する200床以上の病院 |
調査対象施設数 | 1,315施設 |
回答施設数 | 775施設 |
回答率 | 58.9% |
全国小児科施設数 | 3,960(一般病院数)(ソースはこちら) |
出生数(S60年) | 1,431,577人(調査は7月からなので半分の715,788人とする) |
出生数(S61年) | 1,382,946人 |
出生数(S62年) | 1,346,658人 |
出生数(S63年) | 1,314,006人(調査は6月までなので半分の657,003人とする) |
出生数(S61~S63) | 4,102,395人 |
発症数(S61~S63) | 157例(219例 / 生後2週含めて) |
発症数(年間) | 52例 |
上記の結果から | |
全国年間発症数 | 記載なし |
出生数に対する発症割合 | 23,340人に1人 |
母乳栄養児の発症割合 | 不明 |
上記数字も記載されているデータをもとに表にしました。
さらに、書かれている内容を抜粋していきます。
- 合計157例の内訳は、特発性129例、二次性28例(ニアミス18例は割愛)
- 特発性のみを注目すると、昭和62年以降の減少が見られ、二次性の報告数も前回の年間12.6例に対し今回は9.3例と低下
- 発症した乳児の中の母乳栄養で育てられている割合が多く、特に特発性は93.8%であった
- ビタミンKの予防投与にも関わらず、発症した症例が16例あり、これは投与不明例3を除く126例中の12.7%となった
- 昭和62年に行った日本母性保護医協会の調査によると、ビタミンKの予防投与普及率は全国で70-80%と推定
と書かれています。
やっと普及率に対する言及が出てきました。
と言っても、調査した病院や新生児の普及率と照らし合わせないと、データ的には厳しいことがあるのは明白ですが、ないよりあった方が分かりやすいですね。
とりあえず、以下は補足説明として付け加えておきます。
調査期間中の出生数について
調査期間3年間での出生数は内閣府が発表している数字、及び厚生労働省の人口動態調査から引用しています。
これは第一回目・第二回目と変わりません。
ただ、調査期間が昭和60年の7月から、昭和63年の6月までなっていることから、出生数は年間の半分ずつとして考えます。
▶http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2015/27webgaiyoh/html/gb1_s1-1.html
▶http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei16/dl/2016suikei.pdf
発症数から見た全国発症数の数字の導き方
アンケート結果から出た発症数(年間)が157例で、と記載がありますが、全国発症数に対する言及がありません。
第二回目までは、アンケート調査をした施設数と実際の施設数から導き出された全国発症数だと思っていましたが、アンケート調査をした施設数から返答のあった回答率で導き出しているようです。
よもや、第一回目に記載された数字が第二回目とは相違があり、さらに第三回目に出てくる数字もまた違うので、追いかけることが出来ません。
第一回目と照らし合わせても、今回に述べられている数字とは違っているので、追いかけるのはやめます。
年度別報告患者数について
調査期間3年間の年度別の発症数の記述がありましたので、引用します。
年 | 特発性 | 二次性 | 計 |
昭和60 | 26 | 1 | 27 |
昭和61 | 53 | 7 | 60 |
昭和62 | 33 | 14 | 56 |
昭和63 | 17 | 6 | 29 |
※昭和60年は7月~、昭和63年は6月までの半年の調査の数です。
この調査から導き出されている考察
3年間に特発性129例、二次性28例が把握された。
特発性の年間発生数は平均43例となり、前回の調査で年平均が94.5例(記述はなかったけど、計算するなら90.4例のはず?)であったので、45.5%に減ったことになる。
と記述があります。
もはや読みとる力が僕にはなくなってきてますが、
アンケートに対する回答率が前回が39.7%(第二回目は38.8%と記述があったけど…)であったことを勘案すると、罹患数はかつての23.9%と著名な減少を示した。
って書かれています。
過去に調査したであろう引用の数字がメチャクチャすぎるので、もはや言及するのはやめておきます。
一つ思う事は、昭和62年時点でビタミンKの予防投与の普及率が70~80%とのことで、それだけを数字で見ると減少している数字になっているとは言えるということです。
第四回全国調査
第四回全国調査における概要は以下です。
調査方法 | 不明 |
期間 | 1988(S63)年7月1日~1990(H2)年12月の2.5年間 |
対象施設 | 不明 |
調査対象施設数 | 不明 |
回答施設数 | 不明 |
回答率 | 不明 |
全国小児科施設数 | 4,190(一般病院数)(ソースはこちら) |
出生数(S63年) | 1,314,006人(調査は7月からなので半分の657,003人とする) |
出生数(S64/H1年) | 1,246,802人 |
出生数(S62年) | 1,221,585人 |
出生数(S64~H2) | 3,125,390人 |
発症数(S63~H2) | 71例(とかかれているだけで全国なのかアンケート調査の回答なのかは不明) |
発症数(年間) | 不明 |
上記の結果から | |
全国年間発症数 | 不明 |
出生数に対する発症割合 | 50,00人に1人(ソースはこちら) |
母乳栄養児の発症割合 | 不明 |
明確に発表されているものがなく、上記リンクに記載したところからところどころ抜粋し表にしました。
出生数に対する発症割合が5万人に1人という記載を見ましたが、調査期間は昭和63年の7月~平成2年までの2.5年です。
2.5年の出生合計人数は約312万人になり、症例「71例」で割ると、約44,000人に1人となるはず…
ですが、3年間の出生数を合計すると約378万人になります。
この出生合計数を記載のあった発症数「71例」で割ると、約53,000人に1人の発症という計算が成り立ちますが…この計算がされているのだとしたら恐らくおかしい数字です。
なぜなら過去の調査を見ても、全国全ての病院を調査しているのではなく、1,000程の病院にアンケート調査をし、そこから算出しているからです。
論文には第四回全国調査の記述があるようですが、医療関係じゃない一般人にはまだ公表されておらず、医療関係者のみが情報を見ることが出来るようになっているようで、情報を集められませんでした。
第五回全国調査
上記のソースから、第五回全国調査における概要は以下です。
調査方法 | アンケート調査 |
期間 | 1999(H11)年1月1日~2004(H16)年12月31日の6年間 |
対象施設 | 小児科学会会員の所属する医療機関 |
調査対象施設数 | 2,161施設 |
回答施設数 | 1,373施設 |
回答率 | 63.5% |
全国小児科施設数 | 3,300~3,500施設(ソースはこちら) |
出生数(H11年) | 1,177,669人 |
出生数(H12年) | 1,190,547人 |
出生数(H13年) | 1,170,662人 |
出生数(H14年) | 1,153,855人 |
出生数(H15年) | 1,123,610人 |
出生数(H16年) | 1,110,721人 |
出生数(H11~H16) | 6,927,064人 |
発症数(H11~H16) | 91例(最終1,373施設中51施設が回答) |
発症数(年間) | 15例(91例を6年間で割った数) |
上記の結果から | |
全国年間発症数 | 不明 |
出生数に対する発症割合 | 不明 |
母乳栄養児の発症割合 | 不明 |
ほとんどが不明ですが、分かるところだけ表に入れ込みました。
書かれている内容を抜粋出来るところを抜くと、
- 栄養法は母乳栄養児が大多数であったが、混合栄養も4例に見られた
- 発症合計数が91例の内、新生児ビタミンK欠乏性出血症は20例、乳児ビタミンK欠乏性出血症が71例となっている
- 71例の内、ビタミンKの投与歴はなしが8例、1回が27例、2回が15例、3回が11例、不明が10例
- 71例中基礎疾患について記載のあった37例の中で、特発性が21例(記載のないものは約半数ってことですね)
- 71例中出血部位について記載のあった41例の中で、頭蓋内出血が26例、消化管出血が10例、臍出血が2例、その他が3例(記述のないのが30例ってことですね)
と書かれています。
さらに、
さらに、2年半を対象とした第4回調査では、71例(うち特発性が35例)の報告があり、調査対象期間が今回の第5回全国調査は6年間であったことから–出生数、調査用紙の回収状況などを考慮する必要があるものの–単純に比較すると、1999年1月~2004年12月では1/2弱の報告数であった。
と記載されています。
ここには違和感しかありませんが、まとめます。
- 1,373施設から集めた回答によると、6年間でビタミンK欠乏性出血症の症例があったのは91例。(新生児20例、乳児71例)
- 71例中基礎疾患について記載のあったのが37例で、その記載があった中から特発性が21例だったことから、割合は57%が特発性で発症したとしている
- 71例中出血部位について記載のあったのが41例で、その記載があった中から頭蓋内出血が26例だったことから、割合は63.4%が発症したことにしている
- 第4回調査は2年半で71例が発症(内、特発性が35例)、第5回調査は6年の調査で91例が発症(内、特発性が21例)だから、1/2弱の発生率になってることが証明された
といった感じです。
だから、「出生数、調査用紙の回収状況などを考慮する必要があるものの」といった文言が添えられているわけですが、それを考慮せずに答えを出すのはさすがにおかしいだろうと思うのは僕だけじゃないはず…。
まとまらないけどまとめる
分かる限りで全5回分を一覧にしてみました。(スマホ画面の場合、横スクロールできます)
K2(ケイツー)シロップ全国調査 | |||||
開催 | 第一回 | 第二回 | 第三回 | 第四回 | 第五回 |
期間 | S53~S55 | S56~S60.6月 | S60.7月~S63.6月 | S63.7月~H2 | H11~H16 |
調査対象施設数 | 1,011 | 1,218 | 1,315 | 不明 | 2,161 |
回答施設数 | 420 | 472 | 775 | 不明 | 1,373 |
回答率 | 41.5% | 38.8% | 58.9% | 不明 | 65.3% |
全国小児科施設数 | 不明 | 3,727 | 3,960 | 4,190 | 3,300~3,500 |
出生数 (期間中合計) |
3年 4,928,112人 |
4.5年 6,759,165人 |
3年 4,102,395人 |
2.5年 3,125,390人 |
6年 6,927,064人 |
発症数 (期間中合計) |
3年 437例 |
4.5年 475例 |
3年 157例 |
2.5年 71例 |
6年 91例 |
発症数(年間) | 146例 | 106例 | 53例 | 24例? (記載無し) |
15例 |
全国発症数(想定) (年間) |
400例 | 300例 | 不明 | 不明 | 不明 |
出生数に対する発症割合 | 1 / 4,000 人 | 1 / 5,000人 | 1 / 23,340人 | 1 / 50,000人 | 不明 |
第1回目で出てきた数字が第2回目3回目で違う数字になって出てきたりしますから。wまとめるのはこの辺が限界です。
そして毎回同じ病院でアンケートをやっているわけでもなく、ある時は新生児と乳児の両方の発症率を算出し(最初の2回はそう)、ある時は生後2週までに発症した例は数に含めない(第3回)、みたいな計算の仕方をしています。
そんなことしていたら、どうやっても比較出来るものではないのは容易に想像できます。
確かに数字だけ見ると減っているように感じますが、「減っているように見えているだけ」論が垣間見れてしまう気もします。
まとめている中で一番大変だったのは、この問題が矛盾の論争だということです。
「予防が出来る!」という論と、「そんなもの不要!」という論。
医療界では、ほとんどの人はK2(ケイツー)シロップが赤ちゃんの出血を防いでくれるものと思っているはずです。
人工・母乳に関わらず、赤ちゃんにはミルクをあげないといけないよ!ぐらいのレベルで。
医療の道でも小児科を目指して勉強を始めた人も、「K2(ケイツー)シロップがビタミンK欠乏性出血症を予防する」と学校などから習うでしょう。
学校で「すでに立証されている」と学んだことを、わざわざさらに深く原因追及する必要なんてありませんからね。それが当たり前です。
別にこれは仕方ないと思うので、何とも思わないのですが。
余り詳しく言及するつもりはありませんが、一番の闇は2009年にホメオパシーが絡んで赤ちゃんが亡くなったと言われている話です。
この一件から病院側の常識として、
K2シロップを飲ませなかった⇒新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症を発症した⇒損害賠償数億円!
と訴訟を起こされてしまう恐れがある、というのは確実にあるでしょう。
でも、言い方が悪いですが、K2シロップを飲ませていたにも関わらず、出血症を発症した場合は、病院側には何の落ち度もないと片付けられます。
「副作用もないと実証されている」と言われているわけですから、何か体に異変が起こっても病院側には訴えられる責任は一つもないというわけです。
2009年の訴訟問題は示談になったようですが…。
一方、産まれたばかりの赤ちゃんに人工物を投入するなんて信じられない!と思った人でも、僕のようにここまで何十個もの過去の文献や研究結果を調べる人も稀でしょう。
結果、明確なものは出てこなかったのですが…笑
で、どうしてここまで僕がこだわっているかと言うと、先日病院側に「K2シロップは飲ませないようにします」と言ったんですよ。
すると、「今日は部長がいないので、こちらでは回答できません」って言われたんです。
なんでやねん!と思いつつ、次会う部長とも話が出来るように、この記事をまとめたわけです。
そして次回、部長が来て再度K2シロップを飲ませない話を伝えると…
- あなたは頭がおかしいんじゃないか?
- 赤ちゃんのために飲ませるものなのに、それをしない親がいるなんて…
- そんなことを言われたのは初めてなので、さすがに即答は出来ません
と言われました。
インフォームドコンセントはどこにいったのか?と思うほどの異常者扱いです。
さらに分が悪かったのは、妻が里帰り出産で実家に帰省しているため、僕自身が病院への付き添いが出来ず妻が病院に話をしました。
妻は僕が調べた程に知識はありません。
2人で話し合って決めたはずのことでも、病院からは異常者のような扱いを受け、どうしたらいいのか?という気持ちになってました。
ただでさえ臨月で精神が不安定だというのに…
と、母体の精神というか妻の気持ちが穏やかにいられることが一番大切であることから、K2シロップの話はやめよう!ということになり、結果的には飲ませることになると思います。
一応補足しておくと、「必要なら”飲ませないのは自分たちの意志です”という署名もしますので」、と言っても病院側はすんなり受け入れてくれませんでした。
このことからも、損害賠償うんぬんの話に繋がっていくかもしれないという疑念がそうさせているんだろうなと、思わずにはいられなかったというわけです。
あくまでこの記事は、医療関係に携わっていない一般人でも拾えるネット上にあげられている情報をまとめることを意図したものです。
「予防に有効である」と立証されているというなら、それをもっと分かりやすい数字や理論で証明できればと思いましたが、そこまで実証出来るものは出てきませんでした。
また、「飲む意味がない」という点でも、そう言っている人はいるものの、明確に立証するまでには至っていません。
最終的には明確なものが出てこないので、正直なところどちらの話もどんぐりの背比べのようなものではありますが、「予防に有効」論の方が一般的な見解であることは間違いありません。
記事を書いている現在、K2シロップを飲んだからと言って「ビタミンK欠乏性出血症が100%発症しない」というものでもありませんので、これで飲む意味がないと考える人もいるかもしれません。
ですが、表立って副作用うんぬんや、その他のマイナスの話が出てきていない以上、誰かが不要論を言っててもそれはどこの何の情報?ってなってしまいますしね。
僕の個人的な意見を最後に述べておくと、納豆にはビタミンKが豊富に含まれているとのことで、納豆の普及率とビタミンK欠乏性出血症の減少とに因果関係があったりして?なんて思ったりしました。
納豆の普及率がなかなか明確に出てこなくて調べられたわけじゃないので、なんとも言えませんが…。
科学で証明できない事なんて山ほどあります。
だったらやっぱり目を向けるべきは、心の話につながっていくんじゃないのかなって思います。
K2シロップがどうのこうの言うよりも何よりも、もっと目を向けるべきは家庭の夫婦の関係性の問題が一番重要だと。
夫婦が笑顔で心から思いやって過ごせる毎日が大事だよ、といった精神論でこの話は落ち着いておこうと思います。
以上、参考までのまとめでした。
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