どうもNon太(@LoveWifeLives)です。
以前に会社員をしていた時に、『福利厚生があるから就職したいんです。でも仕事が出来ない人は面倒なんで、自分が良いと思った人とだけ関わってたいんです。』というアルバイトの大学生に出会いました。
その大学生をK君(仮名)と呼びたいと思います。
さて、このK君。学生でありながら自分で起業もすでにしていてそれなりに儲かってもいるらしい。でも大学を卒業する時にはその会社は後輩に譲って自分は就職しようと思うとのことでした。
K君の言いたいことはあながち間違ってるわけじゃないんですが、どうしてもサラリーマンである以上、その考えだけでは通用しないところがあったので、就職してから打ちのめされる前に一度僕がガツンとボコボコにしてやりました。
そんな僕とK君とのやり取りをお話ししたいと思います。
K君の属性
まずはK君の属性を簡単に。
- 大学3回生(大学の学年の数え方が【回生】って言い方、関西だけらしいですね)
- 起業している
- 収入はそれなりにある
- その収入の大半はちゃんとスタッフに還元している
- 仕事が出来ない奴とは関わりたくないと考えている
- 自分の考えと合わない人間とも関わる必要がないと考えている
- 福利厚生があって楽だから就職したい
ざっくり言ってもK君はこんな感じでした。
もう少し補足するととんでもない自信家。自信家だけならまだしも、人に対して見下す眼差しがあったり、話しの節々にオレオレが出まくるタイプ。
でもその部分を掘り起こしてみると彼の過去は、
昔からスポーツ(サッカー)をしていた。
レギュラーで全国の選抜?のようなものにも選ばれていた。
高校でもサッカーは続けていたが、監督からは嫌われてレギュラーから外された。
それに腹が立って高校生活のサッカーは辞めた。
辞めるまでは毎朝10kmのジョギングから朝練まで一人だけストイックにやっていた。
大学もスポーツはしようと思ってボクシング部に所属。
初めて数ヶ月で部活内の先輩を含む全員を打ち負かすようになった。
ボクシング部で一番になって目指すものがなくなったので辞めた。
それならとバイトで知った仕事の延長で、自分で会社を始めてみた。
予想以上に簡単に儲かった。
学生がバイトでいてくれるので、儲かった分はパーティーなどで還元してあげる
他の学生がすごいねと褒めたたえてくれる。
『俺って他の大学生と比べて超すごいことしてる人やん!』となる。
という過去から今までがありました。
要するに、今までストイックにやってきてそれがなおかつ成功して、俺は何でも出来るという自信がみなぎっている状態です。
K君と僕の会話
K君と出会った時、僕はすでに会社を辞める事は決まっていて、これからは自分の道は自分で作って歩いていくという時でした。K君からすると真逆。
なぜわざわざ軌道にも乗っていて稼げてもいるのに、辞めてまで就職にこだわるのかを聞いてみました。
なるほど。確かにそうです。大企業になればなるほど新人研修プログラムは完備されてて、社会に溶け込んでいくためのシステムは整っていると言えます。
僕も昔、某日本最大手のカード会社に勤めていましたが、何百ページもあるマニュアルと約1ヶ月かけての研修プログラムはすごかったですから。
しかも会社が利益を上げるためのシステムは持ってるので、それをこなしていくことがサラリーマンですから。
でもその代わりに自己の主張は激減してしまうんです。
『前例がないから』『そんなん言われても俺にはどうしようもないよ』といった言葉で切られることも多々あるんです。
いいよいいよ。その心意気は。そうやって意気込んで、結局自分の力じゃどうしようもないといって普通に溶け込んでしまう人は何人も見てきました。
でもその心意気で頑張るのは応援したい!確かに実力がホントにあるならいいよ!
んんっ?まぁその気持ちは分かるけど。
苦笑してこの会話は終わらせました。
起業とサラリーマンの狭間で
僕がなぜK君との会話を苦笑して終わらせたかと言うと、起業精神の持ち主だと思ったからです。自分で会社を興してうまくいった自信がそうさせているとは思いますが。
自分の思った通りにやりたい。 ⇒起業してたら思った通りに出来るよね!
自分の好きな人とだけ関わってたい。 ⇒起業してたら付き合いたい人は選べてるよね!
自分の好きなようにルールを作りたい。 ⇒起業してたら自分でルール作ってるよね!
と、その考え自体は持っていてもいいのですが、何とも独りよがり。サラリーマンという社会に属すには味方が出来ないばかりか、嫌われる傾向がありました。
自分の好きな人とだけ関わって、自分の思った通りにやれて、自分ルールを作れる、そんな環境を作るための一番手っ取り早い方法が自分で仕事を持つことです。
起業してしまえば、自分の思った通りに行動してみたら良いし、自分が選んだ人とだけ関わってたら良いし、自分がルールを作れば良い。全て結果は自分に帰ってきますからね。
でも、サラリーマンでいる以上、会社の方針があり、社長や上司、先輩などがその方針に従って作ってきたルールがあり、それに合わせて取引先が存在します。
それに大企業になればなるほど、『前例がないから』、『俺の一存では決められないんだよ』なんて言われる事は日常茶飯事なんです。
だから僕は『そういう気持ちがあるんやったら起業した会社を継続して自分なりの力でやっていったらいいんじゃないの?』と言っていました。
福利厚生がしっかりあるからというだけで、その気持ちを押し殺さないといけない場面に遭遇してK君の頑張る気持ちがそがれるぐらいだったら、頑張って作った会社を継続させていた方がいいんじゃないかという意見になったんです。
それでもサラリーマンを選ぶというので、それなら君はうまく吸収する力を身に付けないといけないと伝えました。
”能ある鷹は爪を隠す”を伝えたい
昔、芦屋雁之助さんが演じて大人気だった裸の大将というテレビドラマをご存じでしょうか。
まだ僕が子供の頃のドラマだったのですが、あらすじとしては毎回芦屋雁之助さん演じる山下清が、おっちょこちょいで街の人といざこざになるんです。
でも実はそれがキッカケで街の関係が良くなっていくというストーリー。
山下清は絵だけを残して立ち去り、最後には街の人たちがあの有名な山下清だったのか!と気付いて追いかけていくけど時すでに遅しというようなハートウォームフルなストーリーでした。
裸の大将では”能ある鷹は爪を隠す”を伝えるためのドラマでもなんでもないのですが、能ある鷹は爪を隠すというのは、誰もが気付く程の圧倒的実力や結果を持ち合わせた人に適用される言葉であることを物語っています。
山下清は、圧倒的実力を持った画家でした。(本当の山下清は旅先では絵を描かなかったそうですが)
ドラマで言うと、絵を残していった山下清の実力に街の人は一瞬で気付くわけです。山下清はそれぐらいに実力を持ち合わせた人であったということです。
K君にはまず、誰もが認めるほどの圧倒的実力を兼ね備えてから、そういう言葉は発言するようにしなさい。と伝えました。
なぜかと言うと、僕と出会った頃の彼は確かに起業して儲けてはいたようですが、自分の見せ方がへたくそだったんです。僕が担当していた仕事にアルバイトで来たのですが、初心者で出来ないのに出来ないのは俺のせいじゃない、俺は出来るやつだからオーラがすごかったから。
まだまだ実力が備わっていないのに、そういう事を最初からひけらかすと目の敵にされるだけだぞと。
そして、実力があるかどうかは自分で判断するものじゃなくて、社内の人間が評価することは忘れてはいけない。と伝えました。
社内にK君、先輩のAさん、その上司のBさん、そして社長がいたとします。
先輩のAさんも上司のBさんも、K君が仕事が出来る人であることは薄々分かっていたとします。でも人間的にいけ好かない奴だと思っていたとします。
さらに社長は上司のBさんを信用していたとする。そこで人事の相談があり、社長は上司Bさんに相談します。『K君はどうかね?』と。
上司Bさんがもし『まだまだ勉強不足ですね。』なんて言ってしまえば、せっかくの昇進の機会を失ってしまうかもしれません。(※これはあくまで一方的な例です。)
営業などの個人戦であれば数字がものを言うので評価は変わりますが、人間関係で構成されているサラリーマン社会では、自分の評価は自分じゃなく社内の人間に依存せざるを得ない事があるんです。
だからこそ、サラリーマン社会では人間関係を円滑にしておくことも一つのスキルであるというわけ。
そこで出てくる能ある鷹は爪を隠すです。
圧倒的実力も兼ね備えてきた。社内でも一目置かれる存在になっている。さて、その時に『俺は数字も持ってる、俺は出来る男だぜ!』という雰囲気を出してしまった場合、周りの人たちがどういう心境になるかは容易に想像できると思います。
『あいつ偉そうにうざいなぁ』と。
そんなことをしなくても、実力ある人は隠してても周りから勝手に気付かれるんです。
一つの例を出します。
僕はイベントの会社で正社員として働いていました。アルバイトでやってきた人たちと比べると、はるかに濃い時間を過ごし過酷な状況でやってきた自負もありました。
退職した後はお手伝いでも仕事には関わらない予定だったのですが、当時の協力会社の人から連絡があり、どうしても人が足りないから1日だけ手伝ってくださいと言われ、仕方がないのでお手伝いに行くことにしました。
言い方は悪いですが、スタッフの仕事だったので、僕が社員でやっていたころには絶対にしないポジションでした。責任感もなく、ただ言われた事をやっておけば良いだけのポジション。
その日の仕事は、経験者として2名と僕の合計3人。一人は僕より年上、もう一人は年下。イベント経験はあるけど、自分が経験してきたことと比べるとへなちょこさいさいなのは一言話してすぐにわかりました。
初めましてから始まり、自己紹介もほどほどに仕事が始まりましたが、僕がイベントをやってたことは一つも言わずに仕事を行っていました。
すると休憩の時に2人から、『Non太さんって何者なんですか?イベントやってた人ですか?』と聞かれました。僕は『いや…過去にやった事があるだけですよー』と返しておきました。
帰り際、年下の子と帰りが一緒になったので帰っていると、『Non太さん、絶対イベント関係の人でしょ?最初会った時から空気感が違うと思いましたもん。それにあの動き。スタッフじゃないですやん!』と言われました。
僕からすれば、何年も過酷な環境でやってきたんだから当たり前やし!という気持ちでしたが、『昔やった事があるだけやで』とだけ言って終わらせました。
結局何が言いたいのかというと、自慢したいわけでもなんでもなく、圧倒的実力を持っていれば、周りが勝手に気付いてくれるということです。
それをひけらかさなかった僕は、その年下の彼からまた一緒に働きたいなんて言ってくれる始末。イベントは辞めたから今日限定~と返しておきましたが。
自分でひけらかさずに周りから勝手に気付いてくれた場合、さらに応援されるようになりやすいということも付け加えておきます。
サラリーマンとして生き抜く知恵
僕の位置づけは、サラリーマンとは我慢する事だと思っています。
福利厚生があるから就職してサラリーマンになりたいと思っているのに、自分の好きな人とだけ関わっていたいというのは完全なるエゴなんです。
サラリーマンになるメリットを福利厚生や与えられた環境で過ごせるからと捉えるならば、その代償として我慢することを覚えないといけません。
それが嫌なら辞めた方が良い。楽も求めて自由を追い求めることは出来なくて、サラリーマンとはそういうものです。(全ての会社がそうとは思いませんが)
ある人がサークルに入ったとします。そのサークルには何十人と所属していました。入ってみると、もっとこうした方が楽しくなるのに、と思いました。でもそれをするためには一人の力では難しい。だからそのことを提案してみました。
すると前から属していた人は、『そんなことしなくても今のままでも十分に楽しいから』と言いました。『いやいや、今以上にもっと楽しくなるから!』と反論しましたが、誰にも聞く耳を持ってもらえません。
何とか理解してもらおうと必死に訴えかけましたが、相手にされないどころか煙たがられる存在になってしまいました。
こんなサークルじゃ俺の実力は発揮できないと思って、サークルを辞めました。そして違うサークルに入りました。
後は最初からのループです。
僕の経験上、大企業でも中小企業でもベンチャー企業でも、完璧な会社は見た事がありません。どこかしら自分の思い通りに行かない事が出てきます。
だからこそ、サラリーマンとしてやっていく以上、我慢することは生き抜く一つの知恵なんです。
最後に
K君の話しがいつの間にかサラリーマンとは?というような話しになってしまいましたが、K君との話しには後日談があります。
K君と僕が最後に仕事で会った日、仕事終わりに一緒にご飯を食べに行きました。
すると、前々から疑問に思ってたんですけど…と言う事でK君に聞かれました
前から言っているように俺は自由でやりたい方が勝ったのよ。5年この会社でやってきたけど、自分が成長していないこと、グチをはきながらしか仕事してないこと、自分の思い通りに行かない事、というように我慢しながらやっていくことと、会社の給料やメリットを考えてみた場合、どうしても会社に残るっていう選択は出来なかったからやで。だから、君と俺は逆パターン。笑
僕は『その通り』と答えました。君みたいにバイタリティがあるなら、またいつでも独立したりできるやろうから、また違うステージで会おうということになりました。
そして、最後にK君は『ホントは40代とか50代になったらもっと専門的な分野で独立しようと思ってるんです。そのためのスキルを磨きたいと思ってて…あんまりこういう事は言わないんですが、それが就職する一番の理由なんです。』なんて言うじゃありませんか。
僕からすると最初からそう言えよ…でした。だって起業するための就職だったら行く会社を選べば超メリットになるからです。
リクルート・DeNA・楽天・船井総研あたりは良いんじゃないかなーなんておもったり。若いうちから肉体的にも知識的にも精神的にも鍛えられる企業な気がします。(専門じゃないので詳しくは分かりませんが)
これでK君が会社を辞めて就職するということも理解出来、やっとのことで腑に落ちたんです。そうやってK君とは頑張れよと言って別れました。(←自分に言い聞かせた言葉でもある…笑)
ということで、この話はおしまいです。
もう少し僕がサラリーマン時代と独立して過ごす時代の変化を見せられるようになったら、こういった記事もどんどん書いていこうと思います。
おしまい。