調べれば調べる程奥が深い、外国人観光客の動向。
日本を訪れる外国人は年々増加し、観光客も増加の一途を辿っています。
外国人観光客が何を想いどのような行動をしているのか、仕事の関係でデータをまとめる必要があったので、備忘録としても記事に残しておきたいと思います。
今回は、日本を訪れる前の外国人が何を情報源にして日本を調べているのか、そして日本に来る時に何に期待しているのか、さらには実際来てみてそのギャップはどうだったのか?などをまとめています。
調べたものや選んだ国について
今回調べたものは以下の8つ。その内赤色で示した4つを当記事でデータにしています。
- 国別・訪日外国人数の推移(2013年~2015年)
- 国別・目的別訪日外国人数(2013年・2014年)
- 国別・都道府県別訪問者数(2014年・2015年比較)
- 国別・入国空港・海港(2014年・2015年比較)
- 国別・出発前_旅行情報源で役立ったもの(2014年・2015年比較)
- 国別・訪日前に期待していたこと(2014年・2015年比較)
- 国別・訪日前に最も期待していたこと(2014年・2015年比較)
- 国別・実際にしたこと(2014年・2015年比較)
抽出した数値は全て、国土交通省が提供している訪日外国人消費動向調査のデータと日本政府観光局(JNTO)が提供している訪日外国人に関する統計データに基づいています。
ちなみに、以前に書いた1~4に関する項目についてまとめた記事は以下からどうぞ↓↓↓
さらに世界の中から12ヵ国を厳選
- 中国
- 韓国
- 台湾
- 香港
- タイ
- アメリカ
- カナダ
- 英国(イギリス)
- フランス
- ドイツ
- イタリア
- オーストラリア
日本を訪れる人数が多い国をアジア圏、アメリカ圏、ヨーロッパ圏に分けて選びました。
こちらの12ヵ国について、国別にしたり統計として割合を算出しています。
5.国別・出発前_旅行情報源で役立ったもの
旅行に行く時は、必ずネットで現地の情報を得たりガイドブックを購入しどんな旅行にしようか考えますね。
同じように日本に来る外国人たちはいったい何を情報源にしてやってくるのかのデータをまとめています。
▼2014年 出発前・旅行情報源で役立ったもの
▼2015年 出発前・旅行情報源で役立ったもの
2014年・2015年に日本を訪れた方を対象にしたデータです。
検索サイト(2015年は口コミサイトと表記)は2014年ではトップになっているのに、2015年ではかなり落ち込んでいます。しかもアメリカ・ヨーロッパ圏ではそこまで落ち込んでいないものの、アジア圏では落ち込み具合が顕著に見られ、それに取って代わっているのが個人のブログといったところでしょうか。
台湾・香港・タイでは日本政府観光局ホームページが上位に来てますが、これは日本への旅行者が多い(もしくはこれからもっと増えると考えている)各国向けにその国の言語で紹介しているページがあります。
日本向けの外国の観光局が制作しているページもあります。参考⇒各国政府観光局一覧 / gta
アメリカ・ヨーロッパ圏からは、日本在住の親族や知人をつたって来ているという興味深いデータも出ています。
▼2014年 出発前・旅行情報源で役立ったものグラフ
▼2015年 出発前・旅行情報源で役立ったものグラフ
2015年、個人ブログがダントツのトップになってますが、これは旅行者の多いアジア圏のトップがブログを参考にする人が多いからですね。アメリカ・ヨーロッパ圏ではほとんどいません。
SNS系はもっと拡散して見られているのかと思ってましたが、日本を訪れるためのキッカケになることはあっても情報源までには至っていないんでしょうね。
観光・レジャーに限定した数値
上記数値は訪日外国人すべての人が対象のデータです。
観光・レジャーとして日本を訪れている人に限定したデータもまとめてみました。
▼2014年 出発前・旅行情報源で役立ったもの【観光・レジャー】
▼2015年 出発前・旅行情報源で役立ったもの【観光・レジャー】
今回ピックアップしたアジア圏5ヵ国とアメリカ・ヨーロッパ圏7ヵ国。その旅行者数でいうと、アジア圏だけで8割もの人数を占めています。
アメリカ・ヨーロッパ圏の旅行者はネット検索の中でもトリップアドバイザーやガイドブックを情報源としているのに対し、アジア圏では特に韓国と台湾は個人のブログを情報源としている比率がかなり高いため、全体の割合でも個人のブログがトップとなる結果になっています。
▼2014年 出発前・旅行情報源で役立ったものグラフ【観光・レジャー】
▼2015年 出発前・旅行情報源で役立ったものグラフ【観光・レジャー】
先程述べたものが目で見て分かる結果になっていますね。
個人のブログを情報源にしているのは韓国の26.9%(2015年)に対し、アメリカでは7.2%、イギリスでは6.6%ですからね。どれだけ韓国のデータに引き寄せられているかが分かります。
が、ネットからの情報が大半であることは間違いないようです。
6.国別・訪日前に期待していたこと
情報源を元に得た情報とともに、外国人訪日者は一体何を日本に期待していたのでしょうか。
まずは1人で複数回答OKの「日本に期待していたこと」を見ていきたいと思います。
▼2014年 国別・訪日前に期待していたこと
▼2015年 国別・訪日前に期待していたこと
ダントツの1位は「日本食を食べること」ですね。そりゃ異国の食文化はぜひ堪能したいに決まってます。
注目すべきは、アジア圏はショッピングに期待している傾向にありますが、欧米圏はそれよりも景勝地観光の方が楽しみにしているようです。
中国なんてショッピングが1位になってますから、さすがは爆買の国です。
また、アジア圏は日本の歴史や伝統文化体験よりも温泉入浴の方が興味があり、欧米圏は温泉よりも日本の歴史や伝統文化体験の方が期待している数値になっています。
ここアジアと欧米で真っ二つに割れる結果になっています。
▼2014年 訪日前に期待していたことグラフ
▼2015年 訪日前に期待していたことグラフ
2014年も2015年も割合的にも順位的にもそこまで大きな変動はないようでした。
観光・レジャーに限定した数値
日本を訪れる外国人の80%は観光目的で訪日してますからね。こちらの方がある意味傾向が見られるかもしれません。
▼2014年 国別・訪日前に期待していたこと【観光・レジャー】
▼2015年 国別・訪日前に期待していたこと【観光・レジャー】
日本食を楽しみにしていることは、揺るぎないデータのようです。
次いでアジア圏はショッピング、欧米圏の国は自然や観光地、さらには日本の伝統文化を体験したいと思っている傾向にあるのが見てとれます。
▼2014年 訪日前に期待していたことグラフ【観光・レジャー】
▼2015年 訪日前に期待していたことグラフ【観光・レジャー】
グラフで見てみると、順位に変動がない中で「日本の酒を飲むこと」という割合が少し上昇しており、一定の層からはある程度の需要や期待があると考えられます。
確かに日本の酒蔵などを体験できるツアーに参加すれば、無料で試飲も出来たりするので、日本の文化を体験する良い機会になるかもしれません。
7.国別・訪日前に最も期待していたこと
さて、先ほどは「日本を訪れる前に期待していたこと」という設問に対して一人で複数回答がOKなデータでした。
次にまとめるのは「訪日前に最も期待していたこと」です。「最も」という言葉が入っているので、一人一つの回答のみを集めた数値になっています。
▼2014年 国別・訪日前に最も期待していたこと
▼2015年 国別・訪日前に最も期待していたこと
一つだけを選択するという回答は、顕著にデータが出ていますね。
日本食に期待しているのは変わりありませんが、ショッピングに期待しているのは完全にアジア圏の人たちだけで、欧米の旅行者は景勝地観光か日本文化を体験することに興味があると回答が二分されています。
そして面白かったのがオーストラリア。
オーストラリアの雪よりも日本の雪の方が質が良いと言われており、オーストラリアからのスキー・スノーボーダーが訪れている数も上昇しています。
スキー・スノーボードは期間限定にも関わらず、ここまで数値を伸ばしてくるということは、いかに日本の雪を求めてくるオーストラリアからの旅行者が多いことが分かります。
▼2014年 訪日前に最も期待していたことグラフ
▼2015年 訪日前に最も期待していたことグラフ
アジア圏でも韓国を筆頭に、温泉入浴は観光客にとって比較的高い興味度があり、年々高まっている傾向にあると言えます。
お湯に浸かる文化自体が少ない欧米圏では、ハマればムチャクチャ拡がりそうですけどね。
オーストラリアでは、温泉が今爆発的な人気になっているようですし。
観光・レジャーに限定した数値
同様に、観光・レジャーに特化したデータです。
▼2014年 国別・訪日前に最も期待していたこと【観光・レジャー】
▼2015年 国別・訪日前に最も期待していたこと【観光・レジャー】
全体の数値とさほど変わっていません。
日本食、ショッピング、景勝地観光、日本文化体験、温泉入浴が高い割合で興味のある分野となっています。
▼2014年 訪日前に最も期待していたことグラフ【観光・レジャー】
▼2015年 訪日前に最も期待していたことグラフ【観光・レジャー】
こちらも全体でも観光・レジャーに特化した数値でも、そこまで大差はないようです。
8.国別・実際にしたこと
最後にまとめるのは、日本に来る前に期待していたことが、実際に来て体験出来ているのかどうかということ。
実際に日本に来た外国人が何をして帰っているのかが見えてくると思います。まさしく理想と現実のギャップですね。
▼2014年 国別・実際にしたこと
▼2015年 国別・実際にしたこと
先程の訪日前に期待していたことと比較しても、比較的簡単にこなせることを体験したという数値になっているのが分かります。
日本食を食べることやショッピングをすること、さらには繁華街の街歩きは旅行の中でも簡単にこなせることなので、ランキングTOP3に入っています。
景勝地観光もそれなりに一定の割合はいますが、日本の伝統文化を体験するということは少しハードルが上がるのかもしれません。
また、日本食を堪能するのと一緒に日本酒を飲めば体験したことになるので、その分「日本の酒を飲むこと」の割合が上がっているということでしょう。
▼2014年 実際にしたことグラフ
▼2015年 実際にしたことグラフ
グラフで見るとかなり分かりやすく、比較的簡単に出来る「食べる・買う・歩く」が高い数値になっています。
観光・レジャーに限定した数値
▼2014年 国別・実際にしたこと【観光・レジャー】
▼2015年 国別・実際にしたこと【観光・レジャー】
観光に特化すると、景勝地観光がランクアップしてますね。観光の名目で来てるので当たり前ですが。
日本の歴史・伝統文化体験の割合がもう少し上がってもよさそうなものですが、まだまだ観光者にとっては興味はあっても少しハードルがあがるもののようです。
▼2014年 実際にしたことグラフ【観光・レジャー】
▼2015年 実際にしたことグラフ【観光・レジャー】
これも同じような数値になってますね。
外国人観光客が期待していること、実際にしたこと / まとめ
訪日外国人のマーケティングが必要だったので、自分まとめとしてもデータをまとめてみました。
箇条書きで再度まとめてみると、
- アジア圏は個人ブログ、欧米圏は口コミサイトや旅行ガイドブックを情報源にして日本に訪れる傾向がある
- 訪日前に日本に期待していることは日本食を食べること!
- 外国人が最も期待していることも日本食を食べることだが、ついではアジア圏はショッピングや景勝地観光の割合が、欧米圏では景勝地観光や日本の歴史や伝統文化の体験をしたいという割合が多くなっている
- 期待とは裏腹に実際にすることは、日本食を食べる、ショッピング、景勝地観光までが大半であり、文化体験をする外国人の割合は減る
大体はこんなデータになりました。
アジア圏と欧米圏では文化の違いから興味があるものも大きく変わるため、日本に訪れた時の行動も大きく変わるということですね。
中国からの訪問者の爆買が少し落ち着きが出ているとの声も聞かれたり、それに代わって日本の原風景を見るツアーが人気になっているとも言われています。
そういった需要を取り込みつつ、日本の歴史や文化を低いハードルで体験できる仕組みづくりを行っていけば、欧米圏からの観光者に対してもマーケットは開かれていきそうですね。
ちなみに、もし画像で貼り付けているデータをエクセルでほしいという方がいれば、問い合わせからメール頂ければ元データをお送りしますよ。
以前にお問い合わせ頂いた方には大変申し訳ございませんが、問い合わせフォームが一部機能していないことが判明しました。大変お手数をおかけしますが、お返事がないという方は今一度お問い合わせ頂けますと幸いです。
問い合わせ時に入力いただいたメールアドレスが反映していなかったため、返信が出来ない不具合がありました。
2016年3月31日現在無事に稼働しており、お問い合わせが可能です。
今回公開しているデータよりも、もう少し細かくデータ分けしてますので。
ぜひ参考にしてもらえれば幸いです。
訪日外国人に関するデータはこちらにもまとめています
●日本を訪れる外国人の人数や割合、都道府県別の訪問者数などを細かくまとめてみました!
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